第2作 続・男はつらいよ 佐藤オリエ

■データ
劇場公開日:1969年11月15日
観客動員数:48万9千人
料金:500円
上映時間:93分

■キャスト
車寅次郎:渥美清
諏訪さくら:倍賞千恵子
車竜造:森川信
車つね:三崎千恵子
諏訪博:前田吟

たこ社長(桂梅太郎):太宰久雄
川又登:津坂匡章(現・秋野太作
源公:佐藤蛾次郎
御前様:笠智衆
患者:財津一郎
藤村薫:山崎努
お菊:ミヤコ蝶々
坪内散歩:東野英治郎
坪内夏子:佐藤オリエ(マドンナ)
諏訪満男:中村はやと
お澄:風見章子
患者の付き添い、葬式の客:谷よしの
葬儀屋:関敬六

■ストーリー
1年振りに帰ってきた寅次郎だが、旅の途中ということですぐに出かけてしまう。
ぶらりと歩いていると中学校時代の恩師、坪内散歩先生(東野英治郎)を見かけ、懐かしさのあまりその自宅に上がりこみ、帰ってきた坪内先生の娘・夏子(佐藤オリエ)らといっしょに夕食をしたが、普段食べつけない食事のせいで胃ケイレンを起こし、市民病院に入院する羽目になってしまった。

その病院では患者相手に騒ぎ、挙句の果てに病院を抜け出して勝手な行動をとる。
担当医の藤村医師(山崎務)はカンカンになって怒り、付き添ってくれた夏子が代わりに怒られてしまった。
さすがの寅次郎も反省し、坪内先生に詫びを入れてその足で旅に出てしまった。

その1ヵ月後、坪内先生と娘の夏子が京都に旅行に出かけた時に、偶然に寅次郎に ばったり会い、「京都には実母がいますので」と話すと「ならばすぐに会いに行け」という事で、寅次郎は夏子といっしょに実母が働いている グランドホテルを探しに行く事になった。

ようやくホテルを見つけ出したものの、そのホテルは「グランドホテル」とは名ばかりの単なる連れ込み宿で、しかも寅次郎の実母はそのホテルで働いているのではなく、グランドホテルの経営者だったのである。

38年ぶりに実母のお菊(ミヤコ蝶々)と再会した寅次郎だが、冷たくあしらわれ、お菊の言葉で寅次郎の怒りが爆発し、その場で大喧嘩となり帰ってしまう。
そのまま坪内先生達といっしょに柴又に帰ってきた寅次郎だが、ショックを隠し切れない様子だった。

ようやく、気を取り直した頃、寅次郎は坪内先生に呼び 出され、先生は「うなぎがどうしても食べたい」などと先生に言われ、魚屋で買うことが思いつかず、江戸川で釣り糸をたれ、粘りに粘って遂に一匹のうなぎが引っ掛かってきたのである。
そのうなぎを竿にぶら下げたまま先生のところに帰ると無情にも坪内先生は椅子に腰掛けた ままの姿で亡くなっていたのである。

悲しみを堪えて先生の葬式に奮闘努力する寅次郎だったが、葬式の途中で夏子と市民病院の藤村医師の胸の中で泣いている夏子の姿を見てしまい、失恋の結果に男泣きしてしまう寅次郎であった。

その後、夏子はめでたく藤村医師と結婚し、新婚旅行で京都に行った。そして夏子が京都で目にした光景は、寅次郎が母親のお菊と楽しそうに歩いている姿であった。

■感想
この第2作で早くも寅次郎の母親役としてミヤコ蝶々が出てきます。
イメージとしてぴったりのはまり役であるように思います。
また、関西の地で”連れ込みホテル”の経営者と言うのもイメージどおりですね。(笑)

マドンナ役の佐藤オリエさんは当時でも取り立てて美人女優と言うことでは無く大女優と言うほどでもでもないが、親しみのある雰囲気であり、庶民派好みの女優さんであると思う。
その辺はさくら役の倍賞千恵子さんが”下町の太陽”と呼ばれ、絶大な人気を誇ってるのと双璧をなす作品に仕上がってるように思います。

データによると第1作と比較して観客動員数はやや落ちますが、作品の流れとしては決して劣ることは無く、2作目のジンクスが懸念される割には検討した作品ではなかったかと思います。

先ほどの文章で倍賞千恵子さんを”下町の太陽”と書きましたが、映画の中でも寅次郎にとっても”母なる太陽”とも言える存在で、妹でありながらもその兄妹愛以上の趣を感じさせる作品であろうと思います。

全作品を通じて、寅次郎が結婚に踏み切れないのもこの「母なる妹」の存在が大きく、寅次郎にとってさくらを超える女性が現れなかったことが原因では、と思います。