第4作 新・男はつらいよ 栗原小巻

■データ
劇場公開日:1970年2月27日
観客動員数:48万5千人
料金:550円
上映時間:92分

■キャスト
車寅次郎:渥美清
諏訪さくら:倍賞千恵子
車竜造:森川信
車つね:三崎千恵子
諏訪博:前田吟
たこ社長(桂梅太郎):太宰久雄

源公:佐藤蛾次郎
御前様:笠智衆
泥棒:財津一郎
蓬莱屋:佐山俊二
弁天屋:二見忠男
吉田医師:三島雅夫
宇佐美春子:栗原小巻(マドンナ)
諏訪満男:中村はやと
川又登:津坂匡章(現・秋野太作
旅行社社長:浜村純
会沢隆夫:横内正
峠茶屋の老婆:村瀬幸子
郵便配達夫:関口銀三
ご近所さん:谷よしの

■ストーリー
寅次郎は競馬場で大当たりし、100万円稼いで名古屋から柴又までタクシーで帰ってきて、「おいちゃんとおばちゃんをハワイ旅行に連れて行ってやる」と豪語して、行くことにしたが、出発当日に旅行代理店の社長が代金を持ち逃げしていることが発覚した。
しかし、大勢の人の見送りがあるので、とりあえず羽田に向かうしかなかった。

羽田に着いてから一人見送りに付いてきた博とおいちゃん、おばちゃんに事情を説明し、とりあえず博だけをすぐに帰し、3人はやむを得ず夜になってからこっそりとらやに戻ってきた。
とにかく、みんなにはハワイに行った事にして、電気もつけずひっそりと過ごそうと考えていた。
しかし運の悪い事に、その夜、店の休みにつけ込んだ泥棒(財津一郎)が誰も居ない筈のとらやに盗みに入ってきたのである。

一騒動の末に捕まえたが、110番するとハワイに行かなかった事がみんなにばれてしまう。そのことで足元を見た泥棒は居座ろうとするが、寅次郎は仕方なく泥棒に1万円をくれてやり、 出て行ってもらう事にした。
ところがこの泥棒、1万円札を持って夜中の柴又商店街を歩いているのを警察官に捕まり、結局はみんなにハワイに行ってないことがばれてしまった。
それでおいちゃんと大喧嘩となり、寅次郎はまたしても旅に出てしまった。

1ヵ月後、寅次郎が再びとらやに帰ってきたが、ニ階の部屋を下宿人に貸している事でおいちゃんと喧嘩になり、その足でまた旅に出ようとしたところへ下宿人の春子(栗原小巻)が帰ってきた。
春子を見た寅次郎は 一目で春子に惚れてしまい、旅に出るのを中止してとらやに同居する事になった。

ここからはいつもの通りで春子にべったりであったが、ある日、春子の恋人・隆史(横内正)が春子のところへ突然遊びにきた。ちょうどそこへ春子の為に 人形を買ってきた寅次郎がニ階にあがり、「あっ」という寅次郎の声がニ階から聞こえ、人形が階段を転げ落ちてきた。
哀れな寅次郎の恋は一巻の終わりとなったのである。

とらやを飛び出した寅次郎は夜更けに戻ってきた。おいちゃん、おばちゃんがたぬき寝入りとも知らずに迷惑をかけたことを詫びる言葉をかけ、そのまま旅に出て行ってしまった。

■感想
この第4作ではマドンナとして典型的な美人女優の栗原小巻の登場である。
私見であるが、普通の街中では絶対に出会うことの無いオーラの漂う特別な人種と言うイメージの女優さんである。

もちろん、第1作〜第3作までも美人女優ではあるが、マドンナと言うより登場人物の一人に美人女優を配役した、という感じなのに比べて、今回はマドンナとして別の配役を設定したと言う色の濃い作品となっている様に思います。
悪い言い方をすると一人浮いている役柄であるようにも感じてしまう。

それだけに寅次郎との距離があり、はなから二人の仲はうまくいかないだろうと想像してしまう。もっともマドンナと言うのはそう言う存在であることを強く押し出した作品なのかもしれない。

また独断と偏見だが、映画の題名は「男はつらいよ」ですが、その流れを見ると2作目は「続・男はつらいよ」となり、2作目は副題で「フーテンの寅」が付いたが、ここで再び「新・男はつらいよ」となっている。
後々48作まで続くことは想定してないような題名のつけ方である。

資料によると前作の第3作に引き続き、第4作も山田洋次監督の監督作品ではない。
その辺のところをみると製作スタッフはまだシリーズ化をあんまり意識してなかったのかも知れないと考えるのは私だけだろうか?